交錯エリアの使用

自動的に表示される交錯エリアを使用して、優先ルールを介して2つのリンクまたはコネクター上の車両間の交錯をモデル化することができます(交錯エリアの通行権の定義)

優先ルールの代わりに交錯エリアを使用して、交差点での通行権をモデリングします。交錯エリアは、自動的に表示され、編集しやすく、優先ルールよりも運転挙動を容易に反映します(運転挙動をモデリングするには、優先ルールよりも交錯エリアを使用する方が適しています。)

また、車両と歩行者の優先ルールの交錯エリアをモデル化することもできます。(歩行者の交錯エリアのモデリング)

交錯エリアを利用した交錯タイプのモデル化

交錯エリアでは以下のタイプの交錯が発生する可能性があります。

  • [Crossing]-[交差]: 交差するリンク
  • [Merge]-[合流]:2つのコネクターが同じリンクにつながるか、1つのコネクターが他の上流交通のあるリンクにつながります。
  • [Branching]-[分岐]: 2つのコネクターが同じリンクから外れるか、1つのコネクターが0.5m以上下流に続くリンクから外れます。

デフォルトでは、属性[Conflict type determined automatically]-[コンフリクト種別-自動決定] が交錯エリアに選択されます。これにより、 Vissim は、交錯のタイプ[conflict type]-[交錯タイプ]に応じた交錯エリアを決定します (交錯エリアの属性).。

交錯エリアの表示

ネットワークオブジェクトサイドバーで、[Conflict Areas]-[交錯エリア] をクリックすると、2つのリンクまたは2つのコネクタ-が重なっているネットワーク内の交錯エリアが自動的に表示されます。それぞれの交錯エリアに対し、通行権を持つリンクを選択できます。交錯エリアは受動的なままとなる場合もあり、この場合は車両には影響が及びません。

次の場合は、交錯エリアは挿入されません。

  • 重複するエリアで、両方のリンクまたは両方のコネクターの高さ(z座標)が1.0 mを超えて異なる場合。
  • 重複が0.5 m以下の場合
  • 少なくとも1つのリンクが、交錯エリアの開始後5 m未満で終了しており、その中で開始されるコネクターがない場合。これは、次のリンクには適用されません。
  • コネクター
  • 歩行者エリアと定義されているリンク(歩行者エリアとしてのリンクのモデリング)
  • カテゴリーが [Pedestrians]-[歩行者] の車両タイプを含む車両混成のインプットフローがあるリンク (車両構成のモデリング)

運転挙動をモデリングするには、優先ルールよりも交錯エリアを使用する方が適しています。

交錯エリアでは、運転手が交錯エリアを通過する方法を計画することから、交錯エリアの方が優先ルールよりも効果的に運転挙動をモデリングできます。

譲る側のドライバーは、メイン交通流の中にいる車両を監視し、いつゆっくり進入できるかを決めます。その後、数秒間加速します。加速することで、交錯エリアを通過できます。ここで運転手は、交錯エリアから下流の交通を考慮します。他の車両のせいで停止したり低速で走行しなければならないことが分かれば、交錯エリアを通過する時間を多めに想定するか、より長い時間待機しようと決心します。

メジャー交通流の車両も交錯エリアに反応します。ドライバーの判断ミスで車両が交錯エリア全体を横切れなかった場合、メジャー交通流の車両はブレーキをかけるか、あるいは停止します。交錯エリアの下流にある信号コントローラーで待ち行列が形成されている場合、メジャー交通流の車両のドライバーは、交差する交通を妨げないために、交錯エリア内で停止しないよう努めます。通行権を持つ運転手も、譲る側の車両の運転手と同様に、交錯エリアを通過するために同等の意思決定プロセスを実行します。

交錯エリアのステータスを示すカラー

交錯エリアのステータスは、ネットワークエディタの [Conflict Areas]-[交錯エリア] リストに表示されます。

  • 緑:メジャー交通流(通行権)
  • 赤:マイナー交通流(譲る側)
  • 両方が赤:車両が互いに「視認」できるよう、交錯の分岐。車両は単に元の順序内に留まっているので、交差点制御はありません。
  • 両方黄色:交差点制御のない受動的交錯エリア

ネットワークエディタ内:

各種ステータスの表示:

交錯エリアでの運転挙動

交錯エリアに進入する車両の運転挙動は、メジャー交通流の車両に影響を与えることなく、マイナー交通流の最大容量を生成することになります。メジャー交通流の車両は、ユーザー定義の安全距離ファクターが小さいほど、合流車線の車両によって妨げられる可能性があります。

  • マイナー交通流の車両は、交錯エリアに近づきながら、すべての時間ステップごとに、メジャー交通流にゆっくり進入できるかどうかを計算します。ここでは、安全距離が考慮されます (Wiedemann 74モデルパラメータの定義)(Wiedemann 99モデルパラメータの定義)。ドライバーは、メジャー交通流に十分なギャップがあると感じれば、そのまま走り続けます。ギャップが小さすぎる場合、車両は交錯エリアの前で停止しなければならないものとして減速します。この計算は、次の時間ステップでも繰り返されます。そのため、ブレーキはキャンセルされるか、ドライバーは運転を続け、流れのギャップを見つけて割り込む場合などには加速することもあります。
  • メジャー交通流の車両は、マイナー交通流の車両と衝突しないように注意します。交錯エリアに到着したときに、マイナー交通流の車両がまだそのエリア内にいることが分かれば、ブレーキをかけ、他の車両が交錯エリアから出た直後に交錯エリアに到達するようにします。減速によって到達が遅れるため、その後の時間ステップの中でさらにブレーキをかけなくても旅程を続行し、副次的な道路上の車両の直後に通過できるようになります。
  • マイナー交通流の中にいる車両は、交錯エリアの下流に十分なスペースがない場合、交錯エリアに到達する前にブレーキをかけます。つまり、複数の交錯エリアが隣接している場合は特に、車両1台分の長さ長さにとって十分なスペースがなければ、運転手は、すべての交錯エリアを一気に通過するか、またはいずれも通過しないかのどちらかを余儀なくされます。
  • 交錯タイプが [Crossing]-[交差] の交錯エリアでは、メジャー交通流中の車両は、[Avoid blocking]-[ブロックを回避] 属性で指定されたパーセンテージに属している場合には、交錯エリアをクリアな状態に保とうとします (交錯エリアの属性)

注意: 交錯ケースの [Merge]-[合流][Branching]-[分岐] の交錯エリアは、メジャー交通流においては車両がない状態には保たれません。メジャー交通流に車両がない状態を保つには、優先ルールを作る必要があります(優先ルールの例2:交差点での待ち行列の回避)

  • マイナー交通流の車両は、メジャー交通流の次の車両が到着するまでにその交錯エリアから出られないと見込む必要がある場合、その交錯エリアに入ることはありません。ここでは、安全距離が考慮されます (交錯エリアの属性)
  • すでに交錯エリアに入っているマイナー交通流の車両は、[Gap]-[ギャップ] 条件が満たされていない別の交錯エリアに入らなければならないことになるとしても、常に現在入っている交錯エリアを離れようとします。
  • 衝突を回避するために、車両は一時的に赤い交錯エリア内の交差点で停止する場合があります。車両Aが、車両Bが交錯エリアを離れようとしていることを認識した場合、車両Aは、通行権を持っていない別の交錯エリア内で、Bが去るまで待機することができます。
  • 交錯エリア内で待機する車両は、次の十分な大きさの時間ギャップを利用して交錯エリアから出ます。この挙動は、譲る側の車両が通行権を持つ車両に道を譲る際にも発生します。例:マイナー交通流の車両がメジャー交通流の方へ曲がろうとしている場合。メジャー交通流にいる車両に通行権があるため、この車両は交錯エリア内の交差点で待機しています。メジャー交通流にいる車両が左折してマイナー交通流に入ろうとし、交錯エリア内の対向交通のせいで道を譲ります。ただし、マイナー交通流にいる車両の時間ギャップが、車両が2台いてもメジャー交通流へ曲がることができるだけの十分な大きさであれば、交錯エリアを離れて、メジャー交通流の方へ曲がります。車両にクリアランスを考慮させたい場合は、優先ルールを定義します (優先ルールのモデリング)