シミュレーションパラメータの定義

シミュレーションを開始する前に、一般的なシミュレーションパラメータを設定できます。

その際、実行するシミュレーションの回数を入力できます。次に、シミュレーション実行の一般的な利用事例を紹介します。

  • 結果の確率的保存のためのランダムシード(乱数の根)の変化
  • 動的配分の反復実行
  • 動的配分の総需要の連続的増加

シンプルなシミュレーションとの違いは、利用事例によって、ランダムシードなどの対応パラメータが各シミュレーション実行ごとに自動的に変更される点です。

1.   目的のシミュレーションの方法が選択されていることを確認してください (シミュレーション方法(マイクロスコピックまたはメソ)の選択)

2.  [Simulation]‐[シミュレーション] メニューで [Parameters]‐[パラメータ] をクリックします。

[Simulation parameters]-[シュミレーションパラメータ] ウィンドウが開きます。

3.  [General]-[一般] タブを選択します。

4.  必要な変更を加えます。

[Element]-[エレメント] [Description]-[説明]
[Comment]-[コメント]

シミュレーション実行のID出力ファイルの冒頭に追加されます。ネットワークファイル*.inpxにコメントを保存するには、[File]‐[ファイル] メニューで [Save]‐[保存] をクリックします。

[Period]-[期間]

シミュレーション時間(単位:シミュレーション秒)。信号制御のためのリードタイムも考える必要があります。

[Start time (time of day)]-[開始時刻]

シミュレーションの開始時間はシミュレーション秒0です (ステータスバーの情報)

[Start date]-[開始日}

日にち依存のロジックによる信号制御手順では、開始日がコントローラーDLLに転送されます。フォーマット:DD.MM.YYYY

[Simulation resolution]-[シミュレーション解像度]
 

注意:  

シミュレーション解像度は、車両や歩行者の挙動およびその相互作用の仕方に影響を及ぼします。このため、使用するシミュレーション解像度が異なれば、シミュレーションの結果も異なります。

シミュレーション秒ごとの時間ステップ数:車両および歩行者が1シミュレーション秒中にどれだけの頻度で移動するかを指定します。

  • 車両の位置は、各時間ステップのシミュレーション秒で再計算されます。シミュレーション解像度は、時間ステップ数を指定します。
  • 歩行者の位置は、シミュレーション秒ごとに20回計算されます。これは、シミュレーション解像度によってこれよりも少ない時間ステップが指定されている場合にも当てはまります。シミュレーション解像度では、歩行者に関する次の機能が定義されます。
  • 1シミュレーション秒ごとに歩行者の動きが更新される頻度
  • 1シミュレーション秒ごとに歩行者を再導入できる頻度
  • 1シミュレーション秒ごとに歩行者が経路を決定できる頻度
  • 1シミュレーション秒ごとに評価を実行できる頻度

値の範囲:1~20の整数

  • 5未満の値を設定すると、動きがぎくしゃくします。このため、この値範囲は、最終シミュレーション結果の生成にはあまり適しません。この値を小さくするとシミュレーションが加速するため、ネットワークモデルのセットアップ中は小さい値を使用すると便利です。
  • 5~10の値にすると、よりリアルなデモンストレーションになります。この値範囲は、最終シミュレーション結果の生成に適しています。
  • 10~20の値にすると、よりスムーズな動きになります。この値範囲は、高品質なシミュレーション動画に適しています。
[Random Seed]-[ランダムシード]

この値により、乱数発生機構が初期化されます。同じネットワークファイルとランダムな開始番号を使用する2つのシミュレーション実行は同じように見えます。ここでランダムシードを変更すると、Vissimの確率関数に異なる一連の値が割り当てられ、交通流が変化します。これにより、たとえば、ネットワーク内の車両到着の確率的変化をシミュレーションすることができます。これによって、異なるシミュレーション結果が生じる可能性があります。これらのシミュレーション結果を比較することにより、確率的変化の影響を比較できます。この目的で、Vissimは、評価中のさまざまな結果属性に対する、最小値、最大値および平均値など、追加の有意義な値を計算します。

注意:  

  • 動的配分中にモデルが収束するように、同じランダムシードを使用します。動的配分にさまざまなランダムシードを使用することにより、いわゆるシーソー効果を生じることができます。
  • モデルが収束した後で、別の評価結果を取得したい場合は、別のランダムシードを使用します。
[Number of runs]-[実行回数}

行内で実行した複数のシミュレーションの処理の数。論理的な値の範囲:利用事例に応じて5~20。

動的配分の場合は、20回を越えるシミュレーションが必要な場合もあります。

注意: 動的配分のために複数のシミュレーション実行を開始する場合、事前に目的の属性を選択します (トリップチェーンファイル、マトリックス、経路ファイルおよびコストファイルの属性)

[Random seed increment]-[ランダムシードの増分]

複数のシミュレーション実行を行う際のランダムシード間の差。この数字は、確率分布とは関係ありません。

動的配分中にモデルを収束させるには、0を入力します。

様々なランダムシードを使用して複数のシミュレーション実行を行うと、それぞれのシミュレーション実行の番号が評価ファイル*.ldpの名前に追加されます。

[Dynamic assignment volume increment]-[動的配分の交通量増分]

動的配分の場合のみ:指定された値によって([Number of runs]-[処理の数] ボックスで)定義されたそれぞれのシミュレーション実行で、出発地-目的地マトリクスの総需要を増やします。

使用される開始値は、動的配分のパラメータ [Scale total volume to]-[合計交通量の調整] です (トリップチェーンファイル、マトリックス、経路ファイルおよびコストファイルの属性)。それぞれの反復に対して、総需要の100%に達するまでこの値ずつ、需要が自動的に増やされます。総需要の100%に達したら、それ以降の追加のシミュレーション実行([Number of runs]-[実行回数] ボックスで指定)は、総需要の100%を使用して実行されます。総需要の100%を超える開始値を使用しないでください。

指定された [Number of runs]-[実行回数] により、総需要の100%に達するにはシミュレーション実行回数が不足しており、Vissimネットワークを保存した場合は、総需要の現在の値が、動的配分のパラメータ [Scale total volume to]-[合計交通量の調整] に保存されます。次回Vissimを開くと、この値が新たな開始値として使用されます。

[Simulation speed]-[シミュレーション速度}

低速撮影係数に対応:実際の秒数ごとのシミュレーション秒を示します

値1.0:シミュレーションがリアルタイムで実行されます。

値2.0:シミュレーションがリアルタイムの2倍速で実行されます。

最大オプション:このオプションを選択すると、シミュレーションを最高速度で実行します。

シミュレーション速度は、シミュレーション結果に影響しません。シミュレーション実行中にシミュレーション速度を変更できます。

大規模なネットワークや遅いコンピューターを使用している場合は、目的のシミュレーション速度に到達しない場合があります。

[Retrospective synchronization]-[遡及同期]

 時間間隔の終わりに、この時間間隔に設定された実際の時間が経過するまでVissimを待機させたくない場合には、このオプションを選択します。

Vissimは、すべての時間間隔に関して、継続的シミュレーションが最後に開始されてから、実際の時間が経過するまで待機します。これによりVISSIMは、たとえば外部の信号制御やその他の外的要因により、より遅い個々の時間間隔で失われた時間を補うことができます。外部の制御ハードウェアを利用すると、失われた時間を同期機能によって取り戻すことができます。

Vissimで連続シミュレーション実行中にウィンドウを開くと、それが遅延の原因となります。ウィンドウを閉じると、最高シミュレーション速度を通じて、シミュレーション速度によって除算されたシミュレーション秒が実際に経過した総時間数と同じになるまで、遅延が補正されます。

連続シミュレーション実行のシミュレーション速度が遡及同期によって減速されると、Vissimは、実際の総時間数(シミュレーション開始後の)がシミュレーション速度で除算した現在のシミュレーション秒と等しくなるまで待機してから、次の時間間隔を実行します。

[Break at]-[ブレイクポイント] プログラムが自動的に [Simulation single step]-[シミュレーションのシングルステップ] モードに切り替わる直前のシミュレーション秒。このオプションを使用して、特定のシミュレーション時間での交通状態を見ることができます。
[Number of cores]-[コア数]

シミュレーション中に使用されているプロセッサコアの数。使用されるコアの最大数は、お使いのコンピューターによって異なります。次のシミュレーション実行を開始する際もこの設定が選択されたままとなります。

デフォルト:すべてのコアを使う

選択したコア数は、ネットワークファイル*.inpxに保存されます。この設定をシミュレーション実行中に変えることはできません。

注意: 少なくとも1つの動的ポテンシャルを使用して歩行者のシミュレーションを行う場合は、利用可能なすべてのプロセッサコアが使用され、このフィールドに入力された数字は使用されません。

5.  [OK] で確定します。

[Simulation parameters]-[シュミレーションパラメータ] ウィンドウが閉じ、設定がネットワークファイルに保存されます。シミュレーション実行は、現在の設定で開始されます。ステータスバーには、現在のシミュレーション実行の番号が表示されるほか、実行済みのシミュレーション実行の総数が括弧内に表示されます。評価ファイルが選択したディレクトリに保存されます。

指定したシミュレーションパラメータは、次のシミュレーションまたはテストの実行時に考慮されます。