シミュレーション解像度が歩行者シミュレーションに及ぼす特殊効果

数学的な観点から見ると、この種のシミュレーションは基本的に連結微分方程式系の数値積分となります。時間ステップを小さくすれば、厳密解に近づきます。ただし、時間ステップ数が増えると、より多くの計算が必要となります。Vissimは、0.05秒の時間ステップで歩行者を計算します。これは、1秒間に20回に相当します。この値の場合、厳密解と比較してやや精度が劣る程度となります。これに対して、多くのプロジェクトでは、実際の歩行者数やその速度など、不確定な外因の影響が大きくなると考えられます。

歩行者の動きに関するVissimのプログラムモジュールは、他のモジュールと内部で通信します。たとえばこれらのモジュールにより、シミュレーション中の歩行者の生成や削除、ルート選択の計算、評価出力の制御などが行われます。モジュールは、シミュレーションパラメータで指定された [simulation resolution]-[シミュレーション解像度] で通信します。このような他のモジュールが歩行者の動きに与える影響は、プログラムモジュールによる影響よりも小さいものですが、ある程度の効果は示されます。たとえば、シミュレーション解像度が低い場合、歩行者の経路決定がある非常に狭いエリアをスキップしてしまう可能性があります。この場合、この経路決定は歩行者に影響を及ぼすことはありません。シミュレーション解像度は、エスカレーターに入る歩行者にも影響を及ぼします。シミュレーション解像度のそれぞれの時間ステップで、エスカレーターに入ることができるのは1人の歩行者のみです。

適切なシミュレーション解像度
  • モデルの作成中であってまだ評価を実行していない場合は、1秒あたり1または2ステップのシミュレーション解像度を使用することができます。
  • 利用事例によっては、1秒あたり1または2ステップのシミュレーション解像度では、設定段階においてテスト目的で実行されたシミュレーション実行が望ましくない方法で変化する場合があります。その場合は、シミュレーション解像度を高める必要があります。セットアップ段階の終わりにシミュレーションを評価したい場合は、1秒あたり最低でも5、できれば10または20ステップのシミュレーション解像度を使用してください。
  • シミュレーションを外部の視聴者にプレゼンするために使用できるAVI録画の場合、1秒あたり20ステップのシミュレーション解像度を使用します。