動的ポテンシャル法の説明

動的ポテンシャルに関する重要な基本は、シミュレーション内で一般的に歩行者が次の目的地エリアを見つける方法です。これは、歩行者がこの方向に進行しないかぎり、ソーシャルフォースモデルの推進力が目的地を目指すことによって実現します。

ここで

:歩行者の現在の速度

:ユーザー定義の分布に基づく歩行者の希望速度

:希望速度の方向(単位ベクトル):希望歩行速度の乗算が現在の希望歩行速度になるもの。 静的ポテンシャルまたは動的ポテンシャル、あるいは両方の値の線形結合から取得されます。

静的ポテンシャルの使用 Vissimでは、常に最短距離で経路の方向を指します。

動的ポテンシャルの使用 現在の推定値に従った最短時間の経路の方向を示します。分析の観点から見ると、これが絶対的に正しい最短時間の経路の方向でない場合もあります。実際には、歩行者は現時点での方向が目的地まで最速でたどり着ける方向かどうかを迷うことが多いため、最速の経路の実際の方向を正確に計算できなくても大きな問題とはなりません。したがって、最短時間の経路の方向がシミュレーションの中で既知であり、各歩行者の挙動が最適であるという仮定は現実的ではないでしょう。

[Impact]-[影響] パラメータ (静的歩行者ルートにおける動的ポテンシャルの定義), (動的ポテンシャル属性): 値 sは、最短距離の経路の方向を示し、値 qは、最短時間の経路の方向を示します。値 はそこから算出されます。 sおよび qは、重み付けとして [impact]-[影響] パラメータの値に従って取り込まれます。

ひとこと: 詳細は、「Quickest Paths in Simulations of Pedestrians(歩行者シミュレーションにおける最速の経路)Kretz T.Große A. u.a.、Karlsruhe、2011年を参照してください。

この が最短距離の経路の方向を指しているか(動的ポテンシャルではなく静的ポテンシャルを使用)、あるいは最短時間の経路の方向を示しているか(動的ポテンシャルを100%使用)にかかわらず、 の計算時の最初の手順では、個々のポイントから目的の遠方エリアまでの距離または残りの推定旅行時間のいずれかを示すグリッドのポイントの値を判別します。グリッドは、ポテンシャルと整合します。シミュレーション実行中、グリッドポイントから目的地までの距離は変わらないため、距離値を提供するポテンシャル(静的ポテンシャルと呼ばれる)が「ルックアップ」テーブルの役割を果たします。これに対して、ネットワーク内に同時に存在するすべての歩行者を考慮すると、目的地までの残りの推定旅行時間がどのグリッドポイントでも継続的に変化します。そのため、このポテンシャルは動的ポテンシャルと呼ばれます。このポテンシャルの値を上昇あるいは増加する値として想定している場合、 は、下りの方向を示しており、数学的には(負の)斜面を示します。

静的または動的ポテンシャルに基づいて が計算されるとすぐに、この値が推進力の項に適用されます。推進力とソーシャルフォースの合計が、それぞれの時間ステップにおける歩行者の加速に含まれます。