メソスコピックシミュレーションの車両追従モデル
メソスコピックシミュレーションは、M. Mahutの研究に基づいた簡素化された車両追従モデルを使用します (参考資料)。マイクロスコピックシミュレーションで使用される車両追従モデルとの主な違いは、ブレーキとアクセルが含まれない点です。車両は速度を瞬時に変更し、次の2つのステータスしかありません。
- 車両は最高速度で移動する。
- 前の車両のリアエンドまで一時的な距離を保持する。この一時的な距離は、応答時間に対応します。
車両追従モデルの正確な式は、選択したメソ速度モデルによって異なります。各リンクごとに、次のメソ速度モデルを選択できます (リンクの属性)。
- [Link-based]-[リンクベース]:詳細度が低下します。そのため、シミュレーション速度が向上する場合があります。
- [Vehicle-based]-[車両ベース](デフォルト設定):高い詳細度。車両は個別の希望速度で移動しようとします。
メソ速度モデル [Link-based]-[リンクベース] の車両追従モデル
この車両追従モデルは、次の固定リンク速度を使用します。
次の項目が含まれます。
xFollower:現在のリンクで後続する車両のフロントエンド位置
xLeader:現在のリンクで先行する車両のフロントエンド位置
VLink:メソリンク速度
τFollower:後続する車両の応答時間
λLeader:先行する車両の有効な長さ。個々の車両の長さとメソ停止距離から算出。
メソ速度モデル [Vehicle-based]-[車両ベース] の車両追従モデル
この車両追従モデルは、次の個別の車両速度を使用します。
この式では、VLinkがVFollowerに置き換わります:それぞれの車両は、個々の希望速度VFollowerで走行しようとします。
計算のその他のベース
両方の車両追従モデルはどちらも、運転挙動パラメータに基づいた個々の車両の長さと応答時間を使用します。
デフォルトでは、メソ速度モデルは [Vehicle-based]-[車両ベース] に設定されます。よって、車両は自由交通流を希望速度で走行します。希望速度決定と減速エリアによって、車両の希望速度が変わります。使用する場合は、次の制限事項が適用されます。
- 減速エリアと希望速度決定は車線ごとに適用され、メソエッジ全体に拡張されます (メソスコピックノード-エッジモデル)。
- 複数の減速エリアと希望速度決定を、同じメソエッジの同じ車線に使用することはできません。重なり合うと判断されるためです。この例では、メソグラフが作成され、最も遠い下流にあるオブジェクトの情報のみを使用している場合、Vissimがメッセージを表示します。
[Link-based]-[リンクベース] のメソ速度モデルには、以下が適用されます。
希望速度決定と減速エリアは無視されます。車両クラスの希望速度の違いはモデリングできません。つまり、異なる車線上のそれぞれ異なる速度制限は、車両ベースモデルを使用してのみをモデリングできます。ただし、都市中央部のネットワークでは、[Link-based]-[リンクベース] メソ速度モデルで十分と思われます。ネットワークの多くの部分にリンクベースメソ速度モデルを使用すると、シミュレーション速度が向上します。
車線変更のための車線選択
メソ車両の車線変更時の車線選択は、コネクターの上流属性 [Lane change distance]-[車線変更距離] と、車両が走行しているメソエッジの下流属性 [Meso Additional Look Ahead Distance (Lane Choice)]-[メソ追加前方距離(車線選択)] の影響を受けます。これにより、特に車両がコネクターに到達するために連続する複数の短いエッジで車線変更しなければならない場合に、現実的な車線変更が可能になります。
メソエッジ上のメソ車両がエッジの出口ノードで車線選択を実行すると、 [Lane change distance]-[車線変更距離] が上流のメソエッジに戻る下流のコネクターまで、メソエッジ上の車両の車線選考が考慮されます。この車線変更距離はデフォルトでは 200m で、変更可能です。
メソエッジの属性 [Meso Additional Look Ahead Distance (Lane Choice)]-[メソ追加前方距離(車線選択)] を使って、コネクターの[Lane change distance]-[車線変更距離] 内にある下流のメソエッジが車線選択において考慮される、メソエッジの端からの距離を定義できます (メソエッジの属性)。マイクロセクションのコネクターは考慮されません。メソ車両はミクロセクションでは前方を見ません。下流のリンクエッジが前方視認のために考慮されるには、そのエッジ全体が戦法視認距離内になければなりません。